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内容記述 |
1.基礎的な意味において,また最近のプラスチックス袋包装と品質との関係のうちのいくつかを明らかにするという実際的な目的において,結球葉菜類の代表としてキャベツをとりあげ,次項の実験的検討を行なった。2.キャベツに機械的圧力を加えた場合の呼吸量等について検討を行なうとともに,キャベツの呼吸量に関してその他若干の実験を行なった。またキャベツに光線を照射した場合のビタミンC含量等の変化を検討した。得られた結果を要約すると下記のとおりである。(1)加圧中および除圧後のいずれにおいても,加圧に原因する呼吸量の変化は認められなかった。また経時的な重量変化についても加圧による影響は見られず,外観的にも目立った変化はあらわれなかった。(2)キャベツの表面積の30%程度までが完全に被覆されても,呼吸量および重量減少の経過に変化は認められなかった。(3)萎凋等を生じていたんだ外側の葉を除去すると呼吸量が増加することが認められた。(4)1枚ずつ切りはなした葉は,球のままの場合より呼吸量が大であるのみならず,呼吸量の経時的変化の様相も球のままの場合とは著しくおもむきを異にしており,数日後に明らかなピークが認められた。(5)キャベツの葉に紫外線を照射したものは,しからざるものよりアスコルビン酸含量が少なく,また重量減少の程度が大であった。3.実験結果より得られるところの実際的見地における結論および考察事項を要約すると下記のとおりである。(1) 2.(1)の結果から,プラスチックス袋包装のキャベツを倉庫に貯蔵あるいは車両で輸送する際,貯蔵および輸送中ならびに倉庫よりの取出および車両よりの取卸後のいずれにおいても,堆積によって加圧されることに原因する品質低下の危険はないものと考えられる。ただし,加圧によってわずかではあるが機械的損傷をうけるおそれがあるので,この点比較的高温時の病害の発生との関連において留意しておく必要があり,また比較的温度の高い時期に収穫される品種や組織の状態(耐圧性)の異なるものに対するプラスチックス袋包装の適用に関しては,さらに検討を加える方が安全であろう。(なお,本実験はプラスチックス・フィルムの通気性,透湿性等に関して検討したものではないから,それらの性質に関連しての品質については,おのずから問題は別である。)(2) 2.(5)の結果から,光線は多少なりとも品質に影響を与えるものと思われる。しかし,本報における光線照射処理の条件は,いくつかの点において,店頭での販売時をも含めた流通過程でキャベツがおかれる条件とかなり相違するので,実際の流通過程で光線が品質にどの程度の影響をおよぼすかということを明確にするためには,さらに実験を重ねる必要があるものと考える。おわりに,実験に使用した試料について御配慮を賜った東京農工大学農場の関係各位に謝意を表します。 |